【キャリア甲子園】東京電力インタビュー

【キャリア甲子園】東京電力インタビュー

電力・ガスの完全自由化など新しい競争環境に対応し、エネルギー産業のリーディングカンパニーを目指す東京電力。インフラという大きな視点でテーマを設定した理由を、ご自身も社内ビジネスコンテストに参加した経験のある志賀さんに聞いてみました。

■お話をしてくれた方
志賀 優夏さん
渉外・広報ユニット 広報室 
ソーシャル・コミュニケーショングループチームリーダー
法政大学大学院政策創造研究科CSRプログラム修了。入社以来、地域広報で電化促進の料理教室やエネルギー講座講師として活動後、営業、事業開発、人事、企画と幅広い業務を歴任。20代で社内のビジネスコンテストに参加した経験もある。

東京電力テーマ

インフラという広いテーマに挑める力が、今の高校生にはある。


――今回のテーマを選定した理由を教えてください。

志賀さん:東京電力では現在、暮らしや社会の「それから」をカタチにして提供し続けることを目指して、次なる時代のサービス創出に努めています。一昔前までは、電気といえば「灯り(照明)」を意味していました。もちろん、家庭や職場に灯りをともし続けるのが、東京電力の大切な役割であることに変わりはありません。しかし、現在、私たちは電気のみならず、ガスも含めたインフラ、つまり社会基盤全体にサービスを広げており、より進化したエネルギーサービスを提供する企業として、未来に向けて新たな価値を提供していこうとしています。

そうした中で高校生というこれからの時代を作る人たちに、インフラの可能性を考えてほしいとの思いを今回のテーマに込めました。IoTの普及やAI技術の進展により、エネルギー業界にもデジタルトランスフォーメーションの波が押し寄せています。デジタルネイティブ世代の高校生の皆さんならば、今よりもっと快適に、そして楽しくなるイノベーティブなサービスを自由に発想してくれると期待しています。

東京電力1

――インフラというと、かなり意味が広い言葉ですね。

志賀さん:古代ローマ帝国は「インフラの父」と呼ばれています。ヨーロッパから中東、アフリカに至る地域を治めた後、街道をつなぎ、港を作り、公衆浴場や闘技場などを整備していったことで、各地に発展をもたらしました。国の土台にかかわるインフラは、確かに広い意味を含んでおり、社内では「少し難しいのではないか?」との意見もありました。

しかし、前回キャリア甲子園に初めて参画した際、今の高校生の皆さんならば、わからないことを調べて興味の幅を広げていく力を持っていると感じました。また、前回は電気自動車(EV)の活用方法に限定したテーマでしたが、もっと広い意味のテーマで問いかけても、素晴らしい発想とアイディアに接することができるのではないかとの期待もあり、インフラという言葉を選んでいます。

もちろん、簡単なテーマではないと思います。現代社会では電気やガス、水道はもちろん、情報通信や交通なども含めて、インフラには非常に多岐にわたる要素が含まれています。政府は国民生活と社会経済活動に大きな影響を与える14の重要インフラをリストアップしていますが、電気やガス、水道などに加え、クレジットカードなども位置付けられるようになっています。

少し前までは考えられないようなインフラの広がりの中で、東京電力の主力商品である「電気」を中心としたエネルギーには大きな可能性があると思っています。東京電力が保有しているさまざまなインフラも見方を変えると、まったく違う活用方法があるかもしれません。また現在提供しているサービスに、付加価値をつけることで、潜在的なニーズを掘り起こせるかもしれません。インフラという広がりの中で組み合わせるだけでなく「電気」を深堀りしても面白いと思います。

自身もビジネスコンテストに参加。実施の過程での苦い経験が財産に。


――志賀さんご自身もビジネスコンテストに参加した経験がおありなんですよね。

志賀さん:20代のときに、社内の新事業ビジネスコンテストに参加しました。その結果、暮らしの安心につながる新事業を、当時としては最年少で形にするチャンスを得ました。
1年間かけて調査をしていったのですが、残念ながら事業化できると確信できず、最終的には断念しました。

ただ、この1年間は無駄ではありませんでした。日本各地の経営者と話をしてビジネスモデルを練り上げる等貴重な経験ができましたし、あの時チャレンジをしたからこそ、その後、多くのチェンジに挑むことができたのだと思います。社内役員に対する最終プレゼンでは「“Challenge”のなかに“Change”がある。挑戦して得られたことは財産になった」と話しました。チャレンジすることで自身もチェンジするということを、今も忘れないようにしています。

東京電力2

――そのビジネスプランがうまくいかなった要因はどこにあったのですか? 

志賀さん:様々な要因があったのですが、発案者である私以外に仲間を集められなかったことが大きいと思います。昨年のキャリア甲子園の参加者たちが、チームのメンバーとともに切磋琢磨している姿を見て、あの時の私にも仲間がいたら広がりがあったのかもしれないと思いました。若さならではの柔軟性や発想力に加え、仲間とともに納得いくまで議論することも、キャリア甲子園参加者にとって大きな力になると思います。

また、キャリア甲子園に挑戦をする過程では、悩んだり落ち込む瞬間が訪れると思います。私もビジネスプランを形にしようとしたとき、自分の至らなさに気付かされ、悔しさを味わいました。それでも周囲から叱咤激励を受けながら、笑顔で最終プレゼンに臨みました。

――テーマを考える際のポイントなどを教えていただけますか?

志賀さん:今回、「楽しくなる」という言葉も入れています。一昔前は豊かな暮らしを普及させるため各企業しのぎを削って事業を展開してきましたが、今の日本においては便利で快適な暮らしという点では、ほぼ水準が満たされています。となると、大切になってくるのは楽しさ。便利さや豊かさのみならず、ワクワクするような要素がないとこれからの時代のサービスは広がらないと思います。高校生ならではの楽しみ方という切り口でユニークなアイディアを発想していただけることを期待しています。

また、あえて「普及させよ」の一文を入れています。ビジネスプランは考える段階は楽しいのですが、社会に普及できる実現性まで考えていかなければ、ビジネスとして成り立ちません。高校生の皆さん自身がお金を出してもいいと思えるくらいのプランでないと、夢物語で終わってしまう可能性があります。最初は身近な事柄などから考え始めても構いませんが、たとえスモールスタートであっても、将来的にどう発展させていきたいのかというビジョンを描いていただきたいと思っています。

様々な企業との協業を目指す『Utility(ユーティリティ)3.0』の時代。


――東京電力としても従来のインフラの枠組みを超えた取り組みをされているようですね。

志賀さん:身近なところでいえば、スマホなどの充電に使用するモバイルバッテリーのレンタルサービス「充レン」を開始しています。簡易な手続きでモバイルバッテリーを借りることができ、レンタル機器が設置されている場所であれば、どこへでも返却することができます。今やスマホには交通マネーのアプリなども含まれており、電池切れを起こすと自分の家に帰れないこともありますので、まさに私たちの生活に欠かせない重要なインフラなのです。

また、データ通信会社や他電力とコラボレーションした「グリッドデータバンク・ラボ」も開始しました。送配電事業で得られる電力データ(グリッドデータ)をもとにした防災計画や商圏分析により何か得られるのではないかと探っています。今後は東京電力が、多様なインフラを有する企業と手を組んで、ビジネスイノベーションを起こしていく機会が増えていくと思います。

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――他社との協業には、東京電力が提案している『Utility3.0』の考えが根底にあるのでしょうか?

志賀さん:かつての東京電力のような企業がエネルギーを安定供給する時代が『Utility1.0』、電力やガスの自由化による発電・小売の競争時代が『Utility2.0』、そしてインフラ業界内の枠を超えて他分野・他業種と連携、協業していくのが『Utility3.0』だと考えています。

人口減少や少子高齢化により、電力を使う人は減少し続けていきます。一方で電力にかかわる設備は必ず必要で、それを維持し続けるにはコストもかかります。東京電力は自社エリアのみならず全国に、そしてグローバルに展開する総合エネルギーサービス企業を目指して、電気を「つくる」「送る」「販売する」という3つの事業部門を2016年に分社化し、他電力に先駆けて新たな体制をスタートさせています。

この先の『Utility3.0』の時代には、エネルギー会社はもちろん、それ以外の多様な企業のサービスとともに、エネルギーの新しい価値を創出していくことになります。
エネルギーシステム、ライフライン、デジタルという3領域で、業界の垣根を超えた融合が起きる『Utility3.0』の世界。今回のテーマを考えるうえで必要な視点となるでしょう。

――現在、東京電力が大切にしていることについてお聞かせください。

志賀さん:私たちは2011年3月11日の福島第一原子力発電所における事故以降、福島への責任を果たすとともに、競争が激化するエネルギー市場で勝ち抜いていくため新たなビジネスモデルを展開しています。

現在、東京電力では「ひらく」「つくる」「やり遂げる」の3つの合言葉、そして「主体性を持って、福島事業をやり遂げる」「組織をひらき、信頼をつくる」「自分の力で事業を切りひらく」「エネルギーの未来をつくる」「稼ぐ力をつくる」を掲げ、「新々・総合特別事業計画」の5つの宣言の実現に向けて活動を展開しています。
さらにエネルギー事業者として「低廉で安定的な電気をお届けする」といった基本的な使命についても引き続き責任を果たすとともに、お客さまによりご満足いただけるように、新たな価値創造にもチャレンジしています。

「挑戦するエナジー」。安定供給にとどまらず、大胆なイノベーションで、お客さま一人ひとりのくらしや仕事のニーズに積極的に応えていくこと。これが私たちのスローガンです。
皆さんの挑戦をお待ちしています。

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