【キャリア甲子園】生命保険協会インタビュー

【キャリア甲子園】生命保険協会インタビュー

少子高齢化や超長寿化時代の到来で、生命保険の形態にもさらなる変化が訪れると予想されます。業界団体である生命保険協会では、来るべき未来の生命保険のあり方を、「デジタル」という切り口で考えてもらうテーマを採用しました。そこに込められた意図を、協会の最前線で活躍するお二人に聞いてみました。

■お話をしてくれた方
佐川裕実さん
総合調整担当部長

上智大学法学部地球環境法学科卒業。大手生命保険会社を経て2019年4月から現職。保険会社の監督省庁である金融庁と生命保険会社各社との橋渡し役を担っており、各種意見の調整に奔走している。

瀧田祐さん
企画部企画グループ

2008年年入会。ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校経済・社会学部卒業。生命保険会社全体の代表として各種会議に出席したり、監督省庁との折衝、保険教育のために関係機関等との調整などに臨んでいる。

甲子園生命保険協会0

人生100年時代を迎え、安心と不安の形が変化し続けている。


――テーマを深く理解するためにも、最初に生命保険協会の役割について教えてください。

佐川さん:日本には現在、42社の生命保険会社が存在していますが、その全社が加盟している業界団体が生命保険協会です。生命保険の普及のためにさまざまな活動を展開していて、生命保険に関する各種情報発信、消費者からの相談・苦情対応、生命保険を販売する職員の教育制度運営、関係省庁等への意見表明などが代表的な機能です。

学生の皆さんに身近なところで言えば、保険教育に関する取り組みも精力的に展開しています。高等学校家庭科などの学習指導要領で、生涯の「生活設計」の学習が盛り込まれる流れになったのを受けて、その中で民間保険も関連付けて学習いただくように関係機関に働きかけ、今後実施されることになっています。

瀧田さん:生命保険は、高校生などの若年層の方にはまだ馴染みが薄く、なかなかわかりづらいところもあるかと思います。私たちがキャリア甲子園に参加したのも、もっと生命保険を若い人に知ってもらいたい、理解してもらいたいという思いが背景にあります。

――そんな生命保険協会が、このテーマを選んだ理由を教えてください。

佐川さん:昨今、「人生100年時代」と呼ばれる超長寿社会を迎えつつあると言われるようになりました。仮に100歳まで生きるとすれば、今の学生はあと80年、生きていくことになります。100歳まで寿命が続く社会は、人類はまだ誰も経験していないだけに、今までの価値観がそのまま通用するわけではなくなるでしょう。超長寿化により病気やケガなどの身体面でのリスクも高まるでしょうし、老後の生活費の問題といった経済面での新しいリスクも考えなくてはなりません。

また、女性の社会での活躍の広がりや晩婚化などによって、個々のライフスタイルはますます多様化しています。ここでもまた今までとは異なる形のリスクが出現していくことになるはず。生命保険会社はリスクを引き受け、お客さまに安心を提供することを生業としていますが、お客さまのニーズに合わせて安心の形もまた多様化させていかねばなりません。そこで、新しい安心をみなさんに問いたいと考えました。

甲子園生命保険協会1

瀧田さん:未来の安心を提供するには、従来型のライフプランを前提とするのではなく、新たな発想で多様化するリスクに対応していく必要があります。昨今、AIやビッグデータなどに代表される新しいデジタル技術が話題ですが、これらを活用すれば今まで生命保険に関するサービスを届けられなかった人や領域にも貢献できる可能性が広がっていくはず。だからこそ、テーマには「デジタル技術」というキーワードを盛り込んでいます。

なお、高校生は実社会に出ていくまでにはまだ少し時間があると思います。そのため、今現在の問題として新たな保険の形を求めるのではなく、少し先の未来からアプローチしてもらいたいとの思いから「20年後」という設定にしました。

生命保険業界も、時代に応じて変化をし続けている。


――生命保険会社は現在、どのような役割を担っているのでしょうか?

佐川さん:生命保険業界は「相互扶助」の理念のもと、一貫して国民の皆さまへ安心を提供し、国民生活の向上を支えるべく取り組んできました。現在、生命保険会社全体で23万名を超える営業職員、8万名を超える代理店等が活動しています。

瀧田さん:伝統的な生命保険は基本的には生死にかかわるリスクを解決するサービスとして位置づけられており、例えば、お亡くなりになった際に死亡保険金をお支払いすることで残されたご家族に安心を提供してきました。そこから次第に病気やケガで入院・通院・手術をしたときに所定の給付金を受け取れる医療保険や寝たきりなどによって介護が必要な状態になった場合に保障を受けられる介護保険なども、社会のニーズにあわせて普及するようになりました。

佐川さん:近年は健康状態に応じて保険料が割引される健康増進型保険、認知症予防を目的とする保険なども登場しています。さらに、付帯サービスとして介護事業者の紹介、セカンドオピニオン取得に対応する医師の紹介などにも対応。社会の課題の変化に応じて、生命保険会社各社は世の中の人が新たに不安に感じていることをサービスにつなげています。

瀧田さん:生命保険協会のHPに各社のHPへのリンクを取りまとめておりますので、具体的な各社の取組みを参照する際に、ぜひご活用いただければと思います。

甲子園生命保険協会2

――参加するにあたっての注意点はございますか?

佐川さん:不安を取り除き、安心を提供していくのが生命保険会社である以上、今回のテーマにチャレンジする際には、最初に「社会が変容していく中で、将来起こりうる新しい不安とは何か?」を考えてください。世の中が変化していくと、どういう風に安心や不安が変わっていくのか。それを見出していくには想像力が大切です。

瀧田さん:その上で「デジタル技術を使ってその不安をどのように解消させることができるか?」を見出してほしいですね。あくまでもデジタル技術ではなく、課題ありきなのです。また、生命保険協会として協賛させていただいていますが、協会ではなく「生命保険会社」が提供するサービスを考えるというのも忘れないでください。
特に生命保険会社は『モノに関する保険ではなく、人に関する保険』サービスを提供していますので、その点を踏まえたサービスを提案するということもポイントになります。

正解のない問題に、チームで挑戦する意義。


――他に意識しておくべき点はございますか? 

佐川さん:「保険業法」に関しては考慮しないでも構いません。本来、生命保険会社が行うことのできる事業は保険業法によって制限されています。これは、公益性の観点から、保険会社が健全かつ適正な事業運営を行い、保険契約者の利益を守るために必要な規制の一つです。しかしながら、新しいビジネスプランを考える上で、アイディアの幅を狭めてしまうことになりかねません。今回は保険業法の枠を取り払って、自由に考えていってください。
我々のような保険業界で働いている人間は、どうしても現実的な制約の範囲内で考えてしまいがち。学生のみなさんの新しい捉え方、考え方に大きな期待を寄せています。

甲子園生命保険協会3

――参加者へのメッセージをお願い致します。

佐川さん:ビジネスの世界では、「これが正解」といった単一の答えは存在しません。あるときは正解だと思ったことが、1週間後には不正解になっている可能性もあるのです。今回のテーマに関しても、まさに正解のない問いへの挑戦ということになります。

キャリア甲子園はチームやユニットで参加することになるだけに、まずはメンバー間で課題を整理し、限られた時間の中でできるだけ多くの情報を集めて、仲間としっかり議論を交わすのを心がけましょう。その中で解決策をどんどん修正して、自分なりに正しいと思える答えに近づいていってください。

一人で物事を考えるのに比べ、チームでの協業には難しいことも多いはず。しかし、様々な角度から意見をぶつけ合うことで、一人では見つけられなかったアイディアを生み出すことができるのです、正解のない問題に対してチームで意見を出し合って解決していくというのは、ビジネスの世界でも日常的に行われていることでもあります。キャリア甲子園にチームで挑んだ経験は、間違いなく社会に出てから役立つと思います。

瀧田さん:学生のみなさんの前には、これから長い人生が待っていますが、社会に出る前の早い時期から将来への備えについて考える機会を増やしていくことが、より良い人生に繋がっていくはずです。今回のチャレンジを通じて、遠い世界だと感じていた生命保険に、安心をサポートするという社会的役割があるというのを実感していただき、将来の備えを考えるきっかけとしてください。同時に保険会社の社会的意義の大きさや事業領域の広さを感じていただければ幸いです。

甲子園生命保険協会4