「わたしの分解図~失恋編~」では、失恋というワードを話の切り口にして、ユニークな大人たちから話を聞いていきます。正解・不正解がないからこそ面白い、いろんな人の恋愛体験談と価値観に迫る!

「喪失感」を失わないで、持ち続ける。 —元歌舞伎町No.1ホスト、実業家 手塚マキさん

期待には添えないかもしれない。でも、誠実であるべき。

ー手塚さんは学生時代に失恋の思い出ってありますか?

手塚さん:僕は高校からは男子校に通っていたので恋愛に関して疎かったし、何より部活に一生懸命な学生時代だったので、これと言って僕自身の失恋の思い出がパッと浮かばないんですが、幼いながらに「この子、かっこいいなー!」と思った恋愛に関するエピソードはあります。

ーどんなエピソードでしょう?

手塚さん:僕がまだ中学1年生の頃なんですけど、同級生の女の子に告白されたんですよね。でも僕はまだそのとき、声変わりもしてないような子供で、告白されて嬉しいっていう気持ちもあったけど……結論だけ言うと僕は告白してくれた女の子から逃げちゃったんです。

ー逃げられた女の子は結構傷ついちゃいますね。。

手塚さん:本当そうですよね。だけどその子のカッコいいところは、告白した後の答えから逃げ続ける僕を待ち伏せまでして捕まえて「そういう中途半端な態度が一番わたしを傷つけるんだよ!」って言ってきたわけです。

ーおぉお、パワフル。

手塚さん:今でも当時の自分の感情を覚えているんですけど、その時の僕は別に彼女のことを嫌っているとかそんなんでは全然なくて、むしろ「相手を傷つけたくはない。でもどうしたら良いか分からない。」という気持ちで、勇気を出して想いを伝えてくれた彼女から逃げてしまっていた。
だけどそれってよく考えたら相手の想いを全く尊重していない、不誠実な行動ですよね。だからそんな僕にハッキリと“それは良くない”って言ってくれた彼女のことは、子供ながらに「大人でかっこいい人だな」と思いましたよ。

ーその子は手塚さんから、“ちゃんとフラれる”ために一歩踏み込んでくれたんですね。

手塚さん:そうだと思います。恋愛に限らず人間関係を作る上でもいえることだと思いますが、「相手に対してどんな言葉をかけることが正解だ」なんていうものは存在しないんですよね。
その時の僕なりの気付きは、相手の期待に添う、添わないまでは負いきれないけれど、相手から逃げずに自分なりに誠実な対応をすることを学べた気がします。

ー告白されたときに学べることもあるんですね。では、失恋した時に学べることって何だと思いますか?

手塚さん:失恋から学べることって、「自分の気持ちを知ることができる」ということだと思います。

ーと、言いますと?

手塚さん:失恋するまでは、恋人ないし片想いしていた相手の存在が自分の心をある種、満たしてくれている状態なんですよね。そしてそんな相手を失ってしまう失恋とは、心の中を満たしてくれていた存在がいきなり消えて、心にぽっかりと穴が空いてしまうこと。
そうすると、これまでいかにその人が自分の心を満たしてくれていたのか気付けるんです。
だけどみんな、その穴を次の恋とか趣味とか、“新しい何か”で埋めようとしちゃう。僕はその空いてしまった穴を埋めるのではなく、そのまま穴として持ち続けることが大事だと思うんです。
喪失感というか、寂しさというか、そういう気持ちを受け流して「感じたことがある人」になるんじゃなくて、ちゃんと「受け止め続けられる人」でいた方が、他人のそういう気持ちにも気付ける、繊細な人でいられますよね。

心の穴と向き合うということは、自分と深く向き合うことが出来るとても贅沢な時間だと思います。失恋直後ってものすごく寂しいし辛いと思いますが、しっかりと自分の心と向き合うことで、はじめて自分がその恋をした意味に気付けるんじゃないですかね。

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