みなさんは、自分の将来を考えるとどんな気持ちになりますか?キラキラしている人の姿を見ては、何だか自分だけ置いていかれているような気持ちになるなんてことも・・・。
「29歳までの道しるべ」では、現在いろいろな舞台で活躍する大人たちを取材し、彼らの20代のお話を聞きました。
いまだからこそ言える“少しでも人生を前に進めていくためのヒント”です。

計画ではなく、ベクトルを持つ。 ーシブヤ大学 代表理事 左京泰明さん

26歳〜29歳 NPOを自分でつくってみたい。シブヤ大学の学長になる。

左京さん

学長になりたての頃の左京さん。どことなく初々しさがある。

―でも、まだNPOに興味を持っているだけで、何をやるかも決めていない状況ですよね?

左京さん:そうですね。辞表を出してから、引き継ぎやらなんやらで退職まで半年間の時間があったので、日本で面白い活動をしているNPOについて調べていました。

そしたら、若い人たちがオシャレなビブスを付けて楽しそうにゴミ拾いをしている「グリーンバード」というNPOにたどり着いたんです。
猪子さんの教えもあり、「すぐに行動だ」と大学の先輩に代表の長谷部健さん(現在の渋谷区長)を紹介してもらって会いに行きました。

会ってこれまでの経緯を話したら、「ラグビーで頭を打ち過ぎたんだな」と笑われましたよ(笑)。でも、やる気を認めてくださり、商社を退職後は長谷部さんの仕事を手伝うことになりました。

しかも、「肩書きは偉い方がいいから」といきなりグリーンバードの副代表の名刺を持つことになったんです。ちなみにその当時、シブヤ大学の構想は長谷部さんたちがすでに渋谷区に提案していましたが、「区の主導で進めることは難しい」と話が止まっている状況でした。

そうした中、僕もシブヤ大学の構想をどう進めるかという打ち合わせに参加するようになり、だんだん「シブヤ大学はNPOとしてやるのがいいんじゃないか」と思うようになっていったんです。

シブヤ大学自体は、もともと僕がやろうと思ったことではないけれど、まずは自分で何かを始めなきゃと思っていたし、自分がやるべきだって思ったらすごくワクワクしてきました。そして、「代表をやりたい」と自分から言うしかないと考えるようになり、気づくと、夜中に熱いメールを長谷部さんはじめ、シブヤ大学のプロジェクトメンバーに送っていました。

いきなりメンバー最年少の26歳の若造が「代表をやりたい」と言い出したわけですが、みんな反対することもなく、快く受け入れてくれました。さらに、「20代半ばなのに学長って肩書きが偉そうだから、そのギャップが面白いんじゃないか」と言われて、肩書きがシブヤ大学学長になったというわけです。

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―26歳で学長ですか(笑)。いきなり代表を務めることになって、不安はなかったんですか?

左京さん:正直、感じる時間がなかったですね。もう、とにかく実行していくしかない。走りながら考えるという状況でした。「渋谷の街がキャンパスで、誰もが先生になれる」というコンセプトは決まっていましたが、逆にそれ以外は何も決まってなかった。

目的を考え直すところから具体的な活動に落とすところまで、全部0から考えないといけませんでした。だから、やらなきゃいけないことが山積みで、不安というより、3年間ぐらいはほぼ記憶がないですね(笑)。

それに、僕はNPOの経営に興味があったし、自分で始めるからには事業として継続させる状態にもっていきたいと思っていたので、絶対に3年間は続けようと。

あと、経営は苦しいけれど、たくさんの人が集まってくださっていたので、自分たちの活動の意義には手応えを感じていました。さらに、一人で悶々としていた商社マン時代と違って、一緒に取り組もうとする仲間がいたことも大きかったですね。

何の経験もない、名刺を誰かに渡したこともない、人脈もないただの若造に、周りの優秀な人たちが一つひとつ教えてくれている。その状況に感謝の気持ちがあったし、彼らの貴重な時間を使ってくれていることにも責任を感じていました。

―不安を感じる間もないって、20代の過ごし方としては重要なのかもしれませんね。最後に改めて、左京さんにとって20代とは?

左京さん:20代は、やってみたいことをどんどんやってみればいいと思います。たとえば、会社を辞めて起業をしてみたい人がいたら、そうしてみたら良い。
そこで仮にうまくいかなくても、それが糧となって後に繋げていくには十分なタイミングだと思います。

何もせずに決断を後回しにし、その環境にい続けてしまうのが一番もったいない。だから、どんな方向性でもいいからやりたいと思うことに身を投じてみる。その中で、濃密な時間を過ごしておけば、周りから何と言われようが、後から振り返ると絶対にそっちの方が得ているものは大きいと思います。

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左京さん:自分の周りもそうでしたが、20代って自分よりも少し先を歩いている大人たちが、色々なサポートをしてくれるし、引き合わせてくれる。リスクを取って自分のチャレンジをしている若者っていうのは社会の中では応援されるものだと思います。

だから、あまり不安に思い過ぎず、迷ったらドンっとやってみればいいんじゃないでしょうか。あと、シブヤ大学を始めた頃、「君のゴールは何だ?」と質問してくる大人たちがいて、全然答えることができませんでした。
でも、今はそれで良かったんだと思っています。だって世の中も自分も、10年後には変わっていますよね。しかも、どんな風に変化しているかなんて分からない。

だから大切なのは、計画ではなく、ベクトルなんだと思います。自分の進みたい方向をきちんと自分で見定めて、その方向に歩いていけば、そうそう変なことにはならない。多分、皆さんも社会に出ると目標設定やそれを達成するためのステップを求められると思いますが、大まかなベクトルを定めることに留めておくことが、人生の歩き方のコツではないでしょうか。

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